手 の 中 の こ ん ぺ い と う











「スーテラ」

「…シン」


おずおずと布団から顔を出し声の主を認識すると、パッと微笑みの花が咲いた。
シンもそれに触発されたかのように燃えるような紅い瞳に穏やかさを宿す。


「大丈夫?つらくない?」

「うん、だいじょうぶ」


にこっといつもみたく無理矢理じゃなく、自然と笑って見せれば
シンは安心したようにステラの柔らかい金色の髪を撫でる。
ステラはくすぐったそうに双眸を細める。


「あ、そうだ。ステラ、手出して?」

「て?こう?」

「ううん、反対。」


こうやって、とお手本で見せてやれば
ステラはうんと素直に頷いて真似をする。
眼で確認すると、シンはポケットへ手を突っ込んで何かを取り出した。


「ハイ、これあげる」

「…?これなぁに?」


黄色と水色と桃色の3つ。
お菓子の欠片みたいだけれど、形は整っていてキレイ。


「コンペイトウって言うんだって」

「こんぺいと?」

「コンペイトウ。食べるもの、だよ」

「たべるもの……」


ステラに説明しながら、
すとんとベッドの端に腰を下ろした。
ステラは起き上がり、両の掌でお椀を作る。
そしてもう一度まじまじと掌に転がったコンペイトウを眺める。


「…気に入った?」

「うん、とってもかわいい。おほしさまのかたち、してる」

「あ、ホントだ」


ね、とまた微笑むステラにシンもつられて頬の筋肉を緩ませる。


「食べてみて?きっと甘いよ」

「うん」


そう返事して、
3つある中から水色を親指と人差し指で摘んで
開けた口の中へ放り込む。


「…あまい」

「美味しい?」

「うん、あまい」


それ返事になってない、と苦く笑えば
ステラはもう一度「あまい」と双眸を細めた。


「シン、」

「ん?」



「ありがとう」


「…、うん」





































(06/03/04)