そ ば に   り た い








どうしてだろう








「こんにちはラクス」

ぎこちなく、でも微笑みながら
花束と柔らかいキスをプレゼントしてくれていた人

「これ、この前言ってたグリーンの…」

頬をほんのりと紅く染めながら、
機械音で私の名前を呼ぶ球体を差し出す。
私の大好きで大切なお友達をくれた人

「良い歌だと、思いました。…とても。」

飾らない言葉で、飾らない声で、
少し照れながら私の歌を褒めてくれた人




藍色の髪で、
翠色の瞳で、
ワインレッドの制服を着て、
口下手で、
繊細で、
揺れやすくて、




優しい、人







私が求めるのは
手を赤く染めることを躊躇わない人
戦う力を持っている、強い人。



そう、決めていたはずなのに




どうしてだろう




あの人の真っ白な手を、
赤く染めたりなんかしてはいけない、って
闘って欲しくなんか無いって、




どうして好きなんだろう




あんなにあんなに弱い人を、
どうしてこんなにも求めているのだろう




不器用で、
真っ直ぐで、
嘘がつけなくて、

自分から苦しむ人



戦争時代になんて向いてない
私とはきっと、一緒に居ない方がいい人



『婚約者』という鎖で、これ以上『利用』なんてしてはいけない




ごめんなさい
ごめんなさい
ごめん、なさい




貴方を傷つけていいはずない
貴方を想ってなんていいはずない



だけど、



だけど








 傍 に 居 た い
















ああ どうか


こんな気持ち、

早く消えてしまって―――



































(06/01/26)